沖縄久高島のイザイホー
原版 カラー16mm 102分 (第一部 54分  第二部 48分) 1979年(頒布終了)
2021年 HD改訂版 107分
2022年 デジタル・リメーク版 110分 予告編100秒


 島で最も神聖とされるフボー御嶽に集う神女たち。
厳しく立入を規制されるこの聖域にカメラを入れられるのは、年間を通じて、ある一瞬しかありませんでした。その一瞬のため、イザイホー終了後も、さらに2週間待機しました。
この作品には、島の信仰上の禁忌を破った突撃取材・撮影は一切ありません。2022年現在では、立入りは一切認められていません。


 イザイホーの核心は、第一日午前中の各家庭で行われる「ウプティシジ香炉の継承式」です。
左端が新しく神女となるナンチュ。手前の後姿が母親。実家でナンチュの祖母の霊的な力(シジ)が宿る祖母の香炉の灰をナンチュの持参した小さな香炉に移します。
灰を移しているのは、ナンチュの叔母にあたるウムリンガ(願い人)です。この香炉の灰をナンチュの自宅の香炉に移すと新しい神女が誕生します。 


 1978年に行われた沖縄県知念村久高島の十二年に一度の島の祭祀組織への新たな神女たちたちの入社儀礼、 イザイホーの克明な映像による記録です。
記録した当時、これが最後のものとなるとは、予想しませんでした。
 この祭礼の記録には、多くのグループが取り組みました。しかし、16mmカラーフィルムの厳密な同期録音で記録された、広く公開されている映像
作品は、この作品だけです。第1部は、イザイホーの1ヶ月前からの準備と祭りの第3日目までを、第2部は最も華やかな第4日と祭りの後かたづけから、
祭り後の最初の年中行事、フバワクまでを収めています。 

 
「ウプティシジ香炉の継承式」と対をなすのが、第四日午前のアサンマーイにおけるイキー(兄)との盃ごとです。これにより、ナンチュはイキーの信仰上の守り神となります。

 この作品は、久高島の最高神女、外間(ほかま)ノロの補佐役(ウメーギ)、西銘シズさんら島の人々、そして写真家・民俗学者であった比嘉康雄さん
との緊密な協力関係の中で製作されました。
 画質は、頒布DVD・BDには及びませんが、全編のストリーミング配信もNPO法人科学映像館から行われております。まだご覧になっていない方は、
まず内容把握を。ウェブ配信は継続しますが、1979年版のDVDによる配布は2021年2月をもって終了しました。
 替わって2022年デジタル・リメーク版をDVDおよびBD-Rにて頒布します。
第1部
第2部

 改訂版の変わらない点:
草野仁氏によるナレーションと基本構成。
 変わった点:
第一部・第二部を統合し、中間字幕を付加したので全長110分となったこと。画像はフルHD、1080X1920ピクセル。全300カットを16:9画面に切り直し
ました。前後に関係者・スタッフクレジット字幕を追加。中間字幕をブロックごとに付加、時間経過においてジャンプする箇所はフェードアウト・フェード
インで明示。謡われている神謡(ティルル)には、三島まきが原音を書き起こし、現代語訳を付加しました。



 

 残念ながら12年後の1990年にはイザイホーは執り行われませんでした。このため、この記録は初めて本格的に記録された、今のところ最後の記録に
なってしまいました。

1979年版製作:伝統文化財記録保存会・財団法人下中記念財団・東京シネマ新社
製作費の一部に放送文化基金の助成をいただきました。
2022年デジタル・リメーク版 製作:文化財映像研究会/東京シネマ新社 岡田一男・石村智・三島まき

1997年版
学術指導:仲松弥秀・谷川健一・本田安次
協力:西銘シズ、比嘉康雄、宮里千里
ナレーター:草野仁
プロデューサー:岡田桑三/岡田一男 演出:岡田一男 演出補・録音:後藤雅毅
撮影:谷口常也、草間道則、堀田泰寛、高山永一、淵上拳ら 録音:羽田野泰志

 
左から第一カメラ、谷口常也、演出、岡田一男、第三カメラ、堀田泰寛 1978年12月17日

参考ショートクリップ:
静止画:


頒布価格: 
貸出行為を伴わない使用(個人の家庭内使用・施設の授業、研究用資料としての使用)
DVD+解説冊子(税込)¥5,000 2022年中および久高島島内特別価格¥4,500円
貸出行為を伴う使用(学校・図書館・視聴覚センター・博物館の情報資料コーナーなどでの貸出を伴う使用)(税込)¥20,000
BD-R・データでの提供も可能です。
お問い合わせは: 112-0001 東京都文京区白山2丁目31番2−101号 東京シネマ新社 
phn:03-3811-4577  
e-mail: 


 西銘シズさんと比嘉康雄氏 カメラを構えるのは宮里千里氏 1978年12月27日

イザイホーに関する参考文献: 故比嘉康雄氏のモノグラフィー「神々の原郷 久高島 上下巻」第一書房刊行が決定版。非常に詳しい研究書です。
お手頃な価格のものでは、同氏の「神々の古層5 主婦が神になる刻 イザイホー[久高島]」があります。ニライ社発行、新日本教育図書発売で、
充実した写真に加えイザイホーで唄われた全ての神謡とその大意が収録されています。いずれも版元在庫は品切れ。Amazonなどで古書をお求めください。
版元在庫のあるものとしては、比嘉康雄氏生涯最後の著書、集英社新書「日本人の魂の原郷 沖縄久高島」本体価格660円+税でお勧めです。
音声記録では、宮里千里氏のCD「久高島イザイホー 宮里千里 琉球弧の祭祀」が素晴らしい解説文とともに公刊されています。


イザイホー映像デジタル化プロジェクト


上の画面をクリックすると実物大の2K-Full(2048x1556ピクセル)デジタル画像の1フレームが見られます。
第四日午後 御殿庭(ウドゥンミャー)における外間ノロのティルル=神謡(玉城ミスゥルル)が終わりに近づいた。前回のイザイホーで神女と
なったヤジクたちは極彩色の大きな扇(イチャティオージ)を手にし、今回のイザイホーで神女となったナンチュは、クバの葉を切ったアオシュバー
を手に華麗に舞う。


 もともとこの作品は、国際学術映像収集・公開運動、エンサイクロペディア・シネマトグラフカ(ECフィルム)収録を目指して記録されました。様々な
事情によりEC版は実現しないまま、EC本部の活動は1990年代半ばで中断してしまいました。しかし東京シネマ新社は、およそ1000分の16o撮影済み
全フィルムと音源を保存してきました。数年前に当社と親しいビデオラボ、東京光音がレーザーグラフィックス社の新しい5Kスキャナーを導入して以来、
イザイホー関連フィルム・音源をデジタル化してアーカイブ化することを検討してきましたが、東京文化財研究所無形文化遺産音声映像記録研究室を
中心に非営利の任意団体、文化財映像研究会名義でクラウド・ファウンディングや助成金申請で必要資金を調達して、全フィルムの2K-Full(2048x1556
ピクセル)デジタル化に引き続き、24pビデオ編集により、2022年版と「沖縄久高島のイラブー」のDCP 化、各アシビの無省略版アーカイブ資料化、
加えてそれらの現代の研究者による学問的検証を2026年完了を目指します。2022年には、中間成果発表をおこないました。検証の進行次第では、大幅に内容
を一新した第三版制作が課題となります。

文化財映像研究会FB
 クラウドファウンディング フライヤー 久高島島民へのよびかけ

最終更新:2022.12.08.

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